『源氏物語』読書マラソン10〜うつ病っぽいミカドとツッコむ弘徽殿〜

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『源氏物語』読書マラソン10。

大塚ひかり訳『源氏物語』のP41〜44まで読み進めました。前回の続きとして紹介記事を書いていきます(斜体のところは引用です)。

ではどうぞ。

 

引き続きミカドの落ち込みぶりが語られていきます。

夜は遅くまで眠れず、朝は政務を怠りかねない状態。食事もあまり喉を通らないようで、朝ごはんに少しだけ手をつける程度。

要するに、ミカドは不眠、拒食気味状態です。

もし当時、新聞があって、「ミカド動静」みたいなものがあったら、かなり読ませるものになるはずです。

午前2時15分、灯火が燃え尽きるまで物思いにふける。同3時18分、就寝。

午前10時20分、起床。そのまま物思いにふける。同11時15分、政務開始。

 現代的に言えば、ミカドはうつ状態と言えるかもしれません。

 一方、相当に弱っているミカドに対し、第一皇子を産んだ弘徽殿(こきでん)は超強気で、彼にお構い無し。ミカドの寝所に侍ることもなく、夜がふけるまで音楽の遊びに夢中です。

うつ病の夫にお構いなく隣室でカラオケを楽しむ妻のごとくで、ミカドの気分はさらに滅入っていきます。

強くて非情な弘徽殿ですが、ミカドの「めそめそ」に感情移入できない、ついていけない読者は、彼女の側に付くという手があります。

弘徽殿は、ボケる人ばかりの源氏物語の世界では貴重なツッコミ役なのです。

 

読み進めているのは、古典エッセイストの大塚ひかりさんが訳された『源氏物語』です。いくつもある源氏物語の日本語訳の中でも特に現代的な訳で、かなり読みやすいのでおすすめ。