『源氏物語』読書マラソン9。
大塚ひかり訳『源氏物語』のP37〜41まで読み進めました。前回の続きとして紹介記事を書いていきます(斜体のところは引用です)。
ではどうぞ。
桐壺更衣(きりつぼこうい)の実家を見舞いに行った命婦(みょうぶ)が帰ってくると、ミカドはまだ床に入っておらず、4、5人の女房を伴って中庭の近くでお話をしています。
ここ最近のミカドはずっと楊貴妃と玄宗皇帝の悲恋をテーマにした長恨歌(ちょうごんか)にどっぷりとハマっており、話す話題にしてもこの歌に関するものばかりという状態。
一方、桐壺更衣の母からのミカドへの返事は、もっぱら残された桐壺の子(母にとっては孫)の身を案じるもので、ミカドのことはスルー。
セカチュー級の大恋愛や我が子を失うなど、同じような経験をしたことがない読者にとっては、感情移入先が見つけにくい状況です。
というわけで、ミカドに侍(はべ)る女房らやその他ミカド周辺の人々の気持ちを想像したりして、読み進めます。
ミカド「桐壺もやはり仙女となってどこかの山にいるんだろうか?」
女房「きっといらっしゃいますわ(もうええで長恨歌))
周辺の人「ミカドは近頃ずっと(唐滅亡の一因となった)楊貴妃と玄宗皇帝の悲恋にご夢中になられている・・・この国も末か・・・」
自国のリーダーがヒトラーの『我が闘争』に夢中になっていたら怖いですが、『長恨歌』もそれなりに人を不安にさせます。ましてミカドは実際にこの歌と似たような状況に置かれているわけですから・・・
読み進めているのは、古典エッセイストの大塚ひかりさんが訳された『源氏物語』です。いくつもある源氏物語の日本語訳の中でも特に現代的な訳で、かなり読みやすいのでおすすめ。