行政書士試験は難しい〜合格の難易度を正確に把握しよう〜

スポンサーリンク

せっかく行政書士資格を取得したので、今日は行政書士試験の難易度や合格のための学習法について自分の経験を踏まえて、まとめておきましょう!

行政書士試験は簡単、というのはウソ。

ネットで行政書士試験について調べてみるとわかりますが、この試験は簡単との評価が広く出回っています。

これは、ある意味正しいですが、一般論としては間違っています。 

今から10年以上前であれば、簡単というのは正しかったかもしれません。実際、昔の行政書士試験は過去問だけ解けるようになっておけば、合格できたという話も聞きます。

しかし、科目変更や本格的な記述式問題の導入といった試験制度の改定を経た現在では、過去問やってればOKという程度の試験ではなくなってしまいました。

難易度の目安は、大学入試にたとえて言えば、いわゆるMARCHや関関同立といった中堅私立大学群の上位学部に合格するくらいの難易度だと考えてください。偏差値にして60〜65。

それが、上に書いた「ある意味正しく、一般論として間違っている」の意味です。こうした中堅私立大学に合格するのは、東大京大を目指しているような人たちにとっては簡単でしょう。しかし、大多数の高校生は合格できないのが現実ですね。それと同じようなことです。

ちなみに2016年の行政書士試験の合格率は、約10%。10人受けたら1人が受かる試験です。

行政書士の仕事をわかりやすく説明してみよう

なかなか大変な試験ですが、さて、行政書士って一体どんな仕事をしている人たちなのか。

一言でざっくりまとめると、一般の人たちに代わって、役所(市役所、警察署、法務局等々)に提出する書類を作成し、提出する業務を行っています。

この日本という国で生きていれば、こうした役所に何らかの書類を提出する場面って色々ありますよね。身近な例で言えば、車を買ったら車庫証明といって「車の保管場所はこんな感じです。ちゃんとあります」みたいな書類を作成し、警察署に提出しなければいけませんが、こういう面倒な作業を一般の人たちに代わって行っているのが、行政書士です。

役所に提出する書類というのは車庫証明だけでなく、膨大な種類があります。

例えば、中古品の売買を仕事にしたければ、役所に書類を提出して許可(古物商許可)を受ける必要があります。

日本に来た留学生が日本で就職しようと思った場合も、面倒な書類手続きをして、いわゆる就労ビザ(こんな仕事をして日本に合法的に滞在していますよ、という証明書)を取得しなければなりません。

生活保護だって、役所で手続きしないと受けられませんよね。

行政書士は主として、こうしたお役所手続きの代行を仕事として行っています。

 

 
スポンサーリンク

 

行政書士の将来性

書類作成、提出の代行なんてAI(人工知能)に取って代わられる最たるもので将来性がない、という声はよく聞きますが、そのあたりのことを考えてみましょう。

個人的な意見を言えば、行政書士資格は、むしろ今が「買い」だと思います。たとえが悪いかもしれませんが、安い時に買って高くなったときに利益を得る株取引のように、将来性がないとみんなから見放されている時にあえて買う、つまり試験を受けて合格しておくのです。

行政書士の将来性を高く見る最大の理由は、行政書士自体が変化するからです。確かに、今はインターネットの普及などにより、普通の人でも自分で調べて自力で手続きを行える良い環境が整いました。この事実だけを考えると、行政書士の仕事が減りそうです。

しかし一方で、2015年には行政書士法が改正され、特定行政書士制度というものがスタートしました。それ以前の行政書士の業務は、書類の作成、提出、およびそれらに関連した依頼者との相談に限られていました。つまり、法律を扱う職業とは言え、弁護士のように紛争業務に関わることはできませんでした。しかし、2015年の改正行政書士法により、行政書士の主戦場である許認可業務の範囲に限り、紛争業務に参入できるようになったのです。

これが、上に書いた「行政書士自体が変化する」の意味です。

今後10〜30年の間に需要が増大する可能性のある入管業務

行政書士の仕事の中でも特に将来性があると考えられるのが、日本にやって来きた外国人が顧客となる、入管業務です。日本に来た外国人は、日本に合法的に滞在するために各種のビザ(証明書)を取得しなければなりません。日本で働くためのビザ、日本で結婚生活を営むためのビザ等々、いくつかのものがありますが、その取得手続きを代行するのが、入管業務です。

なぜ、入管業務が有望と考えるかというと、今後の日本にとって、外国人労働者が不可欠だからです。

原因は、少子高齢化。これから引退した高齢者が増え、全人口に占める労働者(生産年齢人口)の割合が急速に低下していきます。医療介護サービスを必要とする人たちが激増する一方で、働く人は減っていきます。そうなると生じるのが、人手不足です。

経済学者の野口悠紀雄氏の分析によれば、このままいくと、労働者の4人に1人が医療介護産業で働くことになるそうです。しかし、労働者の4人に1人が医療介護産業で働く社会は、異常な経済構造であり、到底考えられないので、助っ人として外国人労働者の受け入れが必要になる、と。

そして、この外国人労働者の受け入れに関しては、少子高齢化が深刻化した現在では、受け入れるか受け入れないか、という選択の段階を通り越し、受け入れざるをえない、必然である、と。

なぜかというと、例えば今、ベビーブームが起きて子供がたくさん生まれたとしても、彼ら彼女らが労働者となるには、15年〜20年はかかります。それでは到底人手不足の補填には間に合わないんですね。

地面から急に成人した労働者が生えてくることもありえないので、結果、外から労働者を呼び込むしかない、ということになります。

この問題については、以下を参考にしてみてください。

1500万人の働き手が消える2040年問題

1500万人の働き手が消える2040年問題

 

 行政書士試験に合格するための3つの勉強方法

最後に、行政書士試験に合格するためにはどんな方法があるのかということを紹介します。いくつかありますが、それぞれにメリット、デメリット、あるいは向き不向きがあるので、自分の性格や置かれた状況により、適切に選択することが重要です。

市販の参考書や問題集を使って独学 

メリット 

手を広げすぎないで、必要最小限度の参考書と問題集を揃えて専念すれば、費用が安く済む。費用の目安としては、2〜3万円。 

法律初学者か、学んだ経験はあるけれどほとんど忘れてしまった方は、次の3冊から始めると良いです。

『うかる! 行政書士 入門ゼミ』(2017年度版)

『うかる! 行政書士 総合テキスト』( 2017年度版)

『みんなが欲しかった! 行政書士の5年過去問題集』(2017年度版)

それぞれ補足しておきます。

まず、①は法律初学者のためのもの。法律の学習では、独自の専門用語がたくさん登場するので、いきなり本格的な内容に入ると、けっこうしんどいです。なので、海に入る前のプール、みたいな感じで、ちょっと下準備をすると良いですね。ただ、まったくの初心者でないなら、飛ばしてもいい1冊です。

②は、総合テキストという名前の通り、行政書士試験で必要とされる基礎知識を一通り学べるものになっています。行政法はもちろん、民法、憲法、商法、一般知識等、みーんなこみこみ。ただし、行政書士試験で必要とされる膨大な範囲の知識を一冊にまとめたものなので、細かい部分は他のテキストで補強が必要。

③は、そのまま過去問。過去問は受験直前に解くものではなく、受験勉強が一巡したあたりで一度目を通すものです。そうやって試験の傾向や癖を把握すると、その後効率的に学ぶことができます。あ、これは出そう、これは出なさそう、という勘による取捨選択ができるようになるのです。

デメリット 

市販のテキスト、問題集による独学のデメリットとしては、モチベーションの維持が難しかったり、指導者がいないことによって迷子になり、結果、手を広げすぎて泥沼にはまってしまう可能性があることです。

学校に通えば、熱意のある講師陣に励まされたり、周りの学生と情報交換したりしながら、モチベーションを高く維持することができますが、自宅で一人で勉強していると、どうしても孤独になっていき、やる気も低下しがちです。不安から、参考書を取っ替え引っ替えして、結局何も身につかない、なんてパターンは行政書士試験に限らず、よくあること。

DVD講座を利用して自宅学習 

メリット

DVD講座を利用すれば、講師の声や、動的な映像もあり、書籍だけの学習より明らかにやる気が増します。費用の目安としては、5万円〜9万円。

市販テキストを使った独学よりはお金がかかるけど、大手予備校に通うよりは断然に安い、といった位置です。

このDVD講座に関しては、例えば、行政書士試験を含めた数多くの通信講座サービスを提供しているフォーサイト さんは有名ですね。メールで講師に質問できるといった利点は大きく※、合格に必要十分な教材をまとめてセットにしてくれているので、手を広げすぎるということもなく、安心できます。

2017年4月13日現在において確認できるサービスです。以後、変更される可能性もあるので、各自リンク先のサイトで確認してください。

デメリット

DVD講座のデメリットは、あまり見当たらないのですが、強いて言えば、学校に通うほどにはプレッシャーがなく、怠けてしまう可能性があるということでしょうか。

行政書士試験講座のある予備校に通って講師や他の生徒とともに学ぶ 

メリット 

目の前に講師がいる、周りに同じ目的を持った同志たちがいる、ということで、モチベーションは極めて高く維持できます。費用の目安としては、10万円〜25万円。

適度なプレッシャーもあるし、他の学習法と違い、高い受講料を払っているので、それだけ本気になれます。自分に甘めで、すぐに怠けちゃう性格の人は、予備校は積極的に活用するべきです。

また、講師に直接質問をしたり、予備校によって有名講師のカウンセリングを受けたりできるのはめっちゃ嬉しいですよね。費用がかかる分だけ、得られるものは大きいのです。 

法律資格専門の受験指導をされている伊藤塾さんなど、大手予備校はやはり質的にも安心できますね。

デメリット 

他の学習法に比べて費用がかかることと、働きながら合格を目指している社会人受験生にとっては、物理的に学校に通うのがやや負担であることなどが挙げられます。 

 

今日は、行政書士の難易度と学習法についてまとめてみました。合格に必要な期間は短くて1年、長くて3年です。ぜひ、挑戦してみてください。

ではでは!