1個覚えただけで、表現の幅がぐっと広がる単語っていうのはあります。コスパの良い単語っていうか。それがstiffなんですね。
今日は、このstiffという単語について学びます。
「肩こり」はstiffで表す
肩こりは奥が深いです。
結論を先に書いておくと、日本人の言う肩凝りを英語で表現したい場合、単にI'm a bit tiredと言うか、次のように言うのが無難だと思います。
I feel a bit stiff. ア ビット スティッフ (肩が)凝っています。
stiffには「(体の一部が)凝った、硬くなった」という意味があります。
ところが、欧米の人には、どうやら日本人ほど肩の凝りをどうこう言う習慣はないようです。「病気」と「健康」の中間状態としての「肩の異変」を言い表す言葉が特に用意されていないというか。
虹を言葉によって何色に区切り、言い表すかは国や民族によって違うというのは有名な話ですが、それと同じ状況です。欧米の人は日本人ほど「肩の異変」に注目せず、日本語の「肩凝り」に相当するような便利な言葉を作らなかったんですね。
辞書で「肩凝り」や「stiff」を引くと、肩凝り=「a stiff neck/back」と載っているかもしれませんが、どうやらこれもあまり適切とは言えないようです。これは日本の「肩凝り」より多少ニュアンスが重く、どちらかと言えば、寝違えた場合などに使われることが多いそう。
なので、「肩凝り」を言いたい場合は、単にI'm a bit tiredとするか、I feel a bit stiffという風にやや漠然と、そして意味を弱めて言うのが良いと思います。そこまでして外国人に肩凝りを訴えたいか、という話ですが。
「手がかじかんでいる」もstiffで表す
寒い日の、あのかじかんだ手(指)の感じもstiffで言い表すことができます。ここでの主語はhandsにしていますが、fingersでも大丈夫です。
My hands are stiff with cold. 手がかじかんでいます。
寒さでかちこちってことですね。
またこんな言い方もOK。
My hands are numb with cold. 手がかじかんでいます。
numb(ナム)には、「無感覚の、麻痺した」という意味があります。
肩凝りの場合と同じように、言い表し方からして日本人ほどかじかむ症状にこだわりがなさそうな印象。英語圏の人は身体症状の言語化に割かし無頓著なんでしょうか。
でも一方で、英語ではものすごく言い表し方が豊かだけれど、日本語の方はそうでもない、というものや現象はあるのだと思います。
最後に関連表現をまとめておきましょう。
関連表現まとめ
・stiff competition コンペティション 厳しい競争 (英国雑誌The economistの記事タイトルになったりしてます)
・stiff penalty ペナルティ 厳しい罰(処罰)
・stiff and formal よそよそしい、堅苦しい
stiffは、名詞の前に付いて、その「度合い」を強めることができるんですね。stiffは、hardによく似ています。
・stiff wind(breeze)強風
・stiff drink 強い酒
・stiff price 法外な値段
こんな慣用句も。
・keep a stiff upper lip 何事にも動じない(平然としている)
上唇を固くキープする・・・驚いてアヒル口になったりしないということでしょうか。よくわかりません。