国際政治

ロシアの駐中国大使アンドレイ・デニソフ「中国とインドは、近い将来、世界のリーダーに登り詰めるだろう」

中国の国際ニュース放送チャンネルCGTNの「俄驻华大使:金砖国家紧密合作便可行之道」と題する動画を視聴しました。 CGTNの記者による、ロシアの駐中国大使アンドレイ・デニソフに対するインタビュー動画です。 CGTNの女性記者、董雪は、ロシアの外務次…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P85~90)~世論の力に対する幻想を打ち砕いた日本~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回は、P85~90を読了。 国際連盟設立当初は、国際政治上の問題を解決する力としての世論が過大に評価されていた。 その前提にあったのが、世論は常に正しく、必ず勝利…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P76~85)~国際連盟における世論の力の過大評価~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回は、P76~85を読了。 内容は、国際連盟における世論の神格化。つまり、国際連盟設立当時は、世論の力が過大に評価されていた。 極めて重要なことだが、国際連盟とい…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P70~76)~国際連盟規約の理論的欠陥という長所~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回は、P70~76を読了。 大まかな内容は、1920年に設立された国際連盟は、十九世紀の自由民主主義思想に由来する理屈によって、あたかも公式によって数学の問題を解く…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P67~70)~失敗に終わったパリ講和会議発の自由民主主義~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回は、P67~70を読了。 内容は、十九世紀の西ヨーロッパでうまく機能した自由民主主義が、一度衰退し、第一次世界大戦後のパリ講和会議(1919)で再び世界に拡散さ…

中国の小さな女の子が三国志を通してロシアとウクライナの戦争を読み解く

中国の女の子が、現在のロシアとウクライナの戦争を三国志の知識を使って読み解いている動画を発見しました。 三国志は陳寿(ちんじゅ)による歴史書『三国志』と、それをもとにして書かれた羅漢中(らかんちゅう)による小説『三国志演義』があります。 動…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P60~67)~自由主義の基盤にある信念とは?~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読み進める。 今回は、P60~67を読了。 内容は、近代のユートピア政治思想が登場した歴史的背景。 全体的な内容は自分にはやや難しいので、気になった記述について思うところを書いてみる。 自由主…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P57~58)~ユートピアンとリアリストの倫理基準に対する態度の違い~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回は、P57~58を読了。 内容は、ユートピアンとリアリストの倫理に対する態度について。 ユートピアンは、非政治的で絶対的、普遍的であるとする倫理基準を持ち、現実…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P54~57)~右派はなぜ悩むのか?~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回は、(P54~57)を読了。 内容は左派と右派について。 カーによれば、理論の人である知識人は左派に引き寄せられ、実践の人である官僚は右派に引き寄せられるという…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』を読む(P45~54)~知識人と官僚の対立~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回はP45~54を読了。 内容は、政治における理論と現実の対立。これは、知識人と官僚の対立として現れる。 知識人は、理論に現実を合わせようとする傾向があるが、社会…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』の感想(P42~45)~理論と現実の相互依存の認識の上に築かれる政治学~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 P42~45を読了。 ここでは、ユートピアンとリアリストがそれぞれダメ出しをされ、それぞれが相互に関わり合うことの重要性が説かれる。 ユートピアンは目的をあたかもそ…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』の感想(P40~42)~理想主義者と現実主義者のそれぞれの欠点~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回はP40~42を読了。 ここでは、ユートピアンとリアリスト、すなわち理想主義者と現実主義者のそれぞれの思考の特徴と欠点が述べられている。 ユートピアンは未来に関心…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』の感想(P37~39)~夢やぶれて夢への道が始まる~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 今回はP37~39まで読了。 人が何かの実現を望むとき、最初は「~したい」という欲が先走り、現実や手段、方法に関する分析、思考は軽視される。 現実を無視した目的を達…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』の感想(P29~36)~戦争を防止したいという願望が国際政治学を生んだ~

引き続き、E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』(岩波文庫)を読み進める。 P29~36まで読了。 前回の記事では、まず「~したい」という願望があって、その後に思考が生まれる、ということについて書いた。今回読んだ内容は、何か新しい分野で人間…

E・H・カーの『危機の二十年―理想と現実』の感想(P22~29)~政治の世界における「事実」は変幻自在?~

E・H・カーの『危機の二十年――理想と現実』 (岩波文庫)を読んでいる。 国際政治学の必読書としてよく挙げられる本だ。以前に読んだことはあるが、面白いので再読しているのである。国際政治や人間に関する鋭い考察の中で、シェイクスピアの作品のごとく、名…